ChatGPTやClaude、Geminiなどの生成AIを使ってみたものの、「思ったような答えが返ってこない」「毎回やり直しになる」と感じている人は多い。同じAIを使っていても、ある人は資料の下書きや分析まで任せて仕事を大幅に効率化し、別の人は「AIは使えない」と結論づけてしまう。その差を生んでいる大きな要因が、プロンプト(AIへの指示文)の書き方である。

プロンプトの書き方には、特別なプログラミングの知識は必要ない。必要なのは、仕事を人に頼むときと同じように、目的や前提、求める形を言葉にすることだ。主要なAI開発企業も公式のガイドで、明確で具体的な指示、例の提示、出力形式の指定といった基本を繰り返し推奨している。

本稿では、プロンプトの基本構成、回答の精度が上がる7つのコツ、業務でそのまま使えるテンプレート、うまくいかないときの改善手順、使うときの注意点までを、初めての人にも分かるように解説する。2026年10月時点の情報にもとづいている。

この記事の要点

  • プロンプトの質は「AIに渡す情報の量と明確さ」で決まる。曖昧な指示には平均的な答えしか返ってこない
  • 良いプロンプトは「役割・目的・背景・条件・出力形式」の5つの要素で組み立てる
  • 例を見せる、区切り記号で情報を整理する、作業を分割するなどの工夫で精度はさらに上がる
  • 一度で完璧を目指さず、結果を見ながら追加の指示で改善していくのが基本
  • 機密情報の入力、事実の誤り(ハルシネーション)、権利関係には注意が必要
  • うまくいったプロンプトはテンプレート化し、チームで共有すると効果が大きい

プロンプトとは?書き方で回答の質が変わる理由

曖昧なプロンプトと具体的なプロンプトの違い曖昧なプロンプトと具体的なプロンプトの違い

プロンプトとは、生成AIに対して入力する指示や質問の文章のことである。生成AIは、入力された文章を手がかりに「次に続く最も適切な文章」を生成する仕組みで動いている。つまり、AIが使える手がかりはプロンプトに書かれた内容がほぼすべてだ。

たとえば「企画書を書いて」とだけ頼むと、AIは誰向けの、何の企画書で、どのくらいの分量が必要なのかを知らない。そのため、どんな状況にもそれなりに当てはまる、一般的で無難な内容を返すしかない。これはAIの能力不足ではなく、情報が足りないことによる当然の結果である。

一方で、「中小企業の経営者向けに、社内チャットツール導入の企画書を作りたい。目的は問い合わせ対応の時間削減。A4で2枚程度、課題・解決策・費用・導入スケジュールの順で構成して」と頼めば、AIは条件に沿った具体的な下書きを作れる。

新しく入った優秀なアシスタントに仕事を頼む場面を想像すると分かりやすい。能力は高くても、会社の事情や仕事の目的を知らなければ、期待どおりの成果は出せない。プロンプトを書くことは、AIへの「仕事の頼み方」を工夫することなのである。

プロンプトエンジニアリングとの違い

プロンプトの設計を体系的に工夫する技術は「プロンプトエンジニアリング」と呼ばれる。開発者がAIを組み込んだシステムを作るときには、出力を安定させるための細かな設計が求められる。ただし、日常業務でAIを使う範囲であれば、本稿で紹介する基本を押さえるだけで十分に効果が出る。最近のAIは指示の意図を読み取る力が上がっており、凝った「呪文」よりも、分かりやすく具体的な日本語のほうが重要になっている。

良いプロンプトの基本構成:5つの要素

良いプロンプトの基本構成5つの要素(役割・目的・背景・条件・出力形式)良いプロンプトの基本構成5つの要素(役割・目的・背景・条件・出力形式)

精度の高いプロンプトは、次の5つの要素で組み立てると書きやすい。すべてを毎回入れる必要はないが、思いどおりの答えが返ってこないときは、どの要素が欠けているかを確認するとよい。

要素 内容 例
役割 AIにどの立場で答えてほしいか あなたは経験豊富な人事担当者です
目的 何をしてほしいか、最終的に何に使うか 新卒採用の説明会で配る資料を作りたい
背景 前提となる状況や対象者、制約 参加者は就職活動を始めたばかりの大学3年生
条件 守ってほしいルールや避けてほしいこと 専門用語は使わない、800字以内
出力形式 どんな形で答えてほしいか 見出しと箇条書きで、表を1つ入れる

この5つを入れたプロンプトの例は次のとおりだ。

あなたは経験豊富な人事担当者です。
新卒採用の会社説明会で配布する、会社紹介の資料の文章を作成してください。
参加者は就職活動を始めたばかりの大学3年生で、当社はITツールを開発する従業員50名の会社です。
専門用語は使わず、800字以内でまとめてください。
構成は「会社の概要」「仕事の内容」「働き方」の3つの見出しにし、それぞれ箇条書きで書いてください。

特に効果が大きいのは「目的」と「背景」である。AIに「なぜそれが必要なのか」「誰が読むのか」が伝わると、言葉の選び方や内容の詳しさを自動で調整してくれるようになる。

回答の精度が上がるプロンプトの書き方7つのコツ

生成AIの回答精度が上がるプロンプトの書き方7つのコツ生成AIの回答精度が上がるプロンプトの書き方7つのコツ

基本構成に加えて、次の7つのコツを意識すると、回答の質はさらに安定する。

1. 具体的に、数字で指定する

「短く」「詳しく」「いい感じに」といった言葉は、人によって解釈が変わる。AIにとっても同じだ。「300字以内で」「3つ挙げて」「小学生にも分かる言葉で」のように、数や基準で指定すると、期待とのずれが小さくなる。

2. 「してはいけないこと」より「してほしいこと」を書く

「長くしないで」と書くより、「3文以内で」と書くほうが伝わりやすい。禁止だけを伝えると、AIは何をすればよいかを推測しなければならない。望む行動を肯定形で示すのが基本である。どうしても避けてほしいことがある場合は、理由を添えると守られやすい。

3. 目的や理由を伝える

「箇条書きにして」という指示に「スマートフォンで読む人が多いので」と理由を添えると、AIは一文を短くする、見出しを付けるなど、目的に合った工夫を自分で加えるようになる。理由は、指示に書ききれない細部を補ってくれる。

4. 出力の形式を指定する

表、箇条書き、見出し付きの文章、メールの文面など、欲しい形を最初に伝える。後で別のツールに貼り付ける場合は、「表の列は『項目・内容・担当』の3つ」のように構造まで指定すると、手直しの手間が減る。

5. 例を見せる

文体や形式を言葉で説明するのが難しいときは、理想の出力例を1〜3個見せるのが最も確実だ。この方法は「Few-shot(フューショット)プロンプト」と呼ばれ、次の章で詳しく解説する。

6. 指示と資料を区切る

要約や校正のように、AIに文章を渡して処理させる場合は、指示と資料の境目をはっきりさせる。「###」や「”””」などの記号、あるいは「<資料>〜</資料>」のようなタグで囲むと、AIが指示と資料を取り違えにくくなる。

7. 考える手順を示す

比較や分析、計算を含む複雑な質問では、「まず条件を整理し、次に選択肢ごとの長所と短所を挙げ、最後に結論を出してください」のように考える順番を指定すると、筋道の通った回答が得られやすい。いきなり結論を求めるより、途中の考えを書かせたほうが誤りにも気づきやすい。最近は、回答の前に自動で考える仕組みを備えたAIも増えているが、何を基準に考えてほしいかを伝える価値は変わらない。

例を示す「Few-shotプロンプト」と区切り記号の使い方

Few-shotプロンプトの構造と見本づくりのポイントFew-shotプロンプトの構造と見本づくりのポイント

Few-shotプロンプトとは、指示と一緒に「入力と出力の見本」をいくつか示す方法である。見本がない状態を「Zero-shot(ゼロショット)」、1つだけ示す場合を「One-shot」と呼ぶ。見本があると、AIは文体、長さ、形式をまねて回答するため、出力のばらつきが大きく減る。

たとえば、問い合わせメールを分類したい場合は次のように書く。

以下の問い合わせを「料金」「不具合」「使い方」「その他」のいずれかに分類してください。

例1)請求書の金額が先月と違います → 料金
例2)ログインボタンを押しても画面が変わりません → 不具合
例3)CSVで書き出す方法を教えてください → 使い方

###
問い合わせ:契約プランを途中で変更できますか
###

見本を作るときは、形式をそろえることと、似た例ばかりにしないことがポイントだ。見本が偏っていると、AIもその偏りをまねてしまう。また、見本の内容をそのまま流用されては困る場合は、「例の表現はそのまま使わないでください」と添えておくとよい。

区切り記号は、長い資料を渡すときにも役立つ。複数の資料を渡す場合は「<資料1>」「<資料2>」のように名前を付けて囲むと、「資料1と資料2の違いを表にして」といった指示が正確に伝わる。

複雑な作業は分割する:段階的にAIに頼む方法

複雑な作業を工程に分けてAIに頼むプロンプトチェーン複雑な作業を工程に分けてAIに頼むプロンプトチェーン

一つのプロンプトに多くの作業を詰め込むと、AIはどこかを省略したり、指示の一部を忘れたりしやすい。報告書の作成のような大きな作業は、工程に分けて一つずつ頼むほうが品質が安定する。

たとえば、アンケート結果から報告書を作る場合は、次のように分けるとよい。

  1. 整理:「この自由回答を、内容が近いもの同士でグループに分け、グループ名と件数を表にしてください」
  2. 分析:「件数の多い上位3つのグループについて、背景にある課題を考えてください」
  3. 提案:「それぞれの課題に対して、来期に実行できる改善策を2つずつ提案してください」
  4. 文章化:「ここまでの内容を、部長向けの報告書として1,000字程度にまとめてください」

工程を分けると、途中の結果を人が確認し、方向がずれていればその段階で修正できる。最後にまとめて直すよりも、手戻りがずっと少ない。このように前の出力を次の入力として使う方法は「プロンプトチェーン」とも呼ばれ、AIエージェントの仕組みの基礎にもなっている。作業を自動でつなげる仕組みについてはAIエージェントの作り方で詳しく解説している。

AIに質問させる

何を伝えればよいか自分でも整理できていないときは、「回答する前に、必要な情報を私に質問してください」と頼むのも有効だ。AIが確認すべき項目を挙げてくれるため、抜け漏れのないプロンプトを一緒に作ることができる。

改善前・改善後で比べるプロンプトの実例

ここまでのコツを使うと、プロンプトがどう変わるのかを3つの例で確認してみよう。

例1:議事録の要約

改善前:「この会議の内容を要約して」

改善後:「以下は新商品の発売時期を決める会議の文字起こしです。会議に出席できなかったチームメンバーに共有するため、決定事項、担当者と期限つきの宿題、次回までに確認することの3つに分けて、箇条書きでまとめてください。文字起こしに書かれていない内容は補わないでください」

改善後は、目的(欠席者への共有)、出力の構成、守るべき条件が明確になっている。これにより、読んだ人がすぐに行動できる要約が返ってくる。

例2:ブログ記事の構成案

改善前:「在宅勤務についてのブログを書いて」

改善後:「在宅勤務を始めたばかりの会社員向けに、集中力を保つ工夫を紹介するブログ記事の構成案を作ってください。読者は、家に仕事用の部屋がない人を想定しています。見出しを5つ作り、それぞれに書く内容を2行で説明してください。まだ本文は書かないでください」

いきなり本文を書かせるのではなく、構成案から始めることで、方向性を確認してから進められる。作業を分割するコツの実践例である。

例3:データの分析

改善前:「この売上データを分析して」

改善後:「以下は当店の過去12か月の月別売上と来店客数です。来月の仕入れ計画を立てるために分析したいです。まず売上が大きく増減した月とその変化の大きさを示し、次に客単価の推移を計算し、最後に考えられる要因を3つ挙げてください。計算の過程も示してください」

分析の目的と手順を示すことで、AIは何を重視して見るべきかが分かる。計算の過程を表示させれば、数字の誤りにも気づきやすい。

業務で使えるプロンプトテンプレート集

業務で使えるプロンプトテンプレート8種類業務で使えるプロンプトテンプレート8種類

ここでは、日常業務でよく使う場面ごとのテンプレートを紹介する。【】の部分を自分の状況に合わせて書き換えて使ってほしい。

メールの作成

【取引先の担当者】に送るメールを作成してください。
目的:【納期が1週間遅れることのおわびと、新しい納期の連絡】
相手との関係:【長く取引のある、丁寧な対応を好む相手】
含めたい内容:【遅れの理由、新しい納期、今後の再発防止策】
丁寧だが長すぎない文面で、件名も3案出してください。

文章の要約

以下の資料を、【忙しい経営層】向けに要約してください。
・最初に結論を1文で
・次に重要なポイントを3つ、箇条書きで
・最後に判断が必要な事項があれば記載
資料に書かれていないことは補わないでください。
<資料>【ここに文章を貼り付け】</資料>

企画のアイデア出し

あなたは【飲食業界】に詳しいマーケティング担当者です。
【平日の昼の来店客を増やす】ための施策のアイデアを10個出してください。
条件:【予算は月10万円以内、スタッフ3名で運用できること】
各アイデアについて、概要・期待できる効果・必要な準備を表にまとめてください。

Excelの関数・作業の相談

Excelで次の作業をしたいです。使う関数と、その式を教えてください。
A列に社員名、B列に部署名、C列に売上があります。
【部署ごとの売上合計を、別のシートに一覧で表示】したいです。
初心者なので、式の意味も1行ずつ説明してください。

文章の校正

以下の文章を校正してください。
・誤字脱字、文法の誤り、分かりにくい表現を修正
・修正前と修正後、修正の理由を表で示す
・内容や主張は変えない
<文章>【ここに文章を貼り付け】</文章>

翻訳

以下の日本語の文章を、【海外の取引先】に送る英語のメールに翻訳してください。
直訳ではなく、ビジネスメールとして自然な表現にしてください。
専門用語【(例:検収、稟議)】は、意味が伝わる英語に言い換えてください。
翻訳の後に、日本語の原文と意味がずれている可能性がある箇所があれば指摘してください。
<原文>【ここに文章を貼り付け】</原文>

会議の準備

【来期の営業方針を決める会議】の進行案を作ってください。
参加者は【営業部長、課長3名】、時間は【60分】です。
議題ごとの時間配分、論点、会議の最後に決めるべきことを表にしてください。

会議後の議事録づくりにAIを使う方法は、AI議事録の選び方と使い方で解説している。

職種別の活用例

  • 営業:商談メモから提案書の骨子を作る。「顧客の課題・提案内容・期待できる効果・次のアクション」の型を指定すると、そのまま社内共有に使える
  • 人事・総務:社内規程の改定内容を、社員向けのお知らせ文に書き換える。「変更点を3つに絞り、いつから何が変わるかを最初に書いて」と指示すると読みやすくなる
  • マーケティング:商品の特徴から、ターゲット別の広告文の案を複数作る。読み手の年代や悩みを背景として伝えるほど、表現の幅が広がる
  • カスタマーサポート:よくある問い合わせへの回答文のひな形を作る。過去の良い回答を見本として示すと、会社の言葉遣いに合った文面になる
  • エンジニア:エラーメッセージと該当するコードを渡し、原因の候補と確認手順を挙げてもらう。使っている言語やバージョンを背景として伝えることが大切だ

文章・画像・コード:用途別のプロンプトのコツ

生成AIは文章だけでなく、画像やプログラムの生成にも使われている。用途によって、伝えるべき情報は少しずつ異なる。

文章を作るとき

読み手、目的、分量、文体(です・ます調か、である調か)を指定するのが基本だ。社外向けか社内向けかによって適切な言葉遣いは大きく変わるため、誰に向けた文章かは必ず伝えたい。既存の文章のトーンに合わせたい場合は、その文章の一部を見本として示すと効果的である。

画像を作るとき

画像生成では、被写体、構図、雰囲気、色、画風、用途を具体的に書く。「おしゃれな画像」ではなく、「白い背景に置かれた木製のコーヒーカップ、真上から撮影した写真風、明るく柔らかい自然光、ECサイトの商品画像向け」のように描写すると、イメージに近い画像が得られやすい。実在の人物や他社のキャラクター、ロゴなどを再現させる使い方は、権利の侵害につながるおそれがあるため避けるべきだ。

コードを書かせるとき

プログラミング言語、動かす環境、入力と出力の例、守るべき条件(使ってよいライブラリなど)を明示する。エラーを直してほしい場合は、エラーメッセージの全文と、関係するコードの範囲を渡すと、原因を特定しやすい。生成されたコードは必ず自分の環境でテストし、内容を理解したうえで使うことが大切だ。

プロンプトを書く前のチェックリスト

AIに頼む前に、次の項目を確認するだけで、やり直しの回数は大きく減る。

  • 何のために使う成果物かを書いたか
  • 誰が読む(使う)のかを書いたか
  • 分量や数を具体的に指定したか
  • 欲しい出力の形(表、箇条書き、文章など)を伝えたか
  • 資料を渡す場合、指示と資料を区切ったか
  • 機密情報や個人情報が含まれていないか

うまくいかないときのプロンプト改善手順

プロンプトがうまくいかないときの改善サイクルプロンプトがうまくいかないときの改善サイクル

どれだけ工夫しても、最初の回答が完璧であることはまれだ。大切なのは、一度で完璧を目指さず、対話しながら改善していくことである。思った回答が得られないときは、次の手順で見直すとよい。

  1. ずれを言葉にする:「長すぎる」「専門的すぎる」「事例が足りない」など、期待と何が違うのかを具体的にする
  2. 足りない要素を確認する:役割・目的・背景・条件・出力形式のうち、何が欠けていたかを確認する
  3. 追加で指示する:「もっと短く」ではなく「各項目を2文以内に」のように、具体的に修正を頼む
  4. 見本を見せる:言葉で伝わらない場合は、理想に近い文章の例を示す
  5. 新しい会話でやり直す:やり取りが長くなり、前の指示と混ざって混乱している場合は、改善したプロンプトで新しい会話を始める

うまくいったら、最終的なプロンプトを保存しておこう。次回は最初からその形で頼めば、同じ品質の回答が一度で得られる。

よくある失敗と改善例

よくある失敗 改善の方向
「いい感じにまとめて」と頼む 誰が読むのか、何に使うのか、分量を指定する
一度に多くの作業を頼む 工程に分けて、一つずつ確認しながら進める
禁止事項ばかりを並べる してほしいことを肯定形で書き、理由を添える
資料と指示が混ざっている 区切り記号やタグで資料を囲む
回答をそのまま使う 事実や数字は必ず元の情報で確認する

プロンプトを使うときの注意点

プロンプトを使うときの注意点6つプロンプトを使うときの注意点6つ

生成AIは便利な反面、使い方を誤るとトラブルにつながる。業務で使うときは、次の点に注意したい。

  • 機密情報・個人情報を入力しない:顧客の個人情報や社外秘の情報は、会社が認めたサービスや設定以外では入力しない。入力したデータがAIの学習に使われるかどうかも、利用規約や設定で確認する
  • 事実の誤り(ハルシネーション)に注意する:AIは、もっともらしい誤りを自信を持って書くことがある。数字、固有名詞、法律や制度に関する内容は、必ず公式の情報で確認する
  • 根拠を確認できるようにする:社内資料を渡して「資料に書かれている内容だけで答えて」と指示すると、誤りを減らせる。社内文書をAIに参照させる仕組みはRAG(検索拡張生成)の解説記事が参考になる
  • 権利関係に配慮する:他者の文章や画像をそのまま再現させる使い方は避ける。生成した文章を公開する場合は、既存の著作物と似すぎていないかを確認する
  • 最終判断は人が行う:採用、評価、契約など、人に大きな影響を与える判断をAIの出力だけで決めない

社内で生成AIを使う場合は、入力してよい情報の範囲、利用してよいサービス、出力の確認方法などを、利用ガイドラインとして定めておくと安心だ。

チームでプロンプトを共有・標準化する方法

個人のコツにとどめず、チームで共有すると効果は何倍にもなる。次のような取り組みから始めるとよい。

  • プロンプト集を作る:よく使う業務ごとに、うまくいったプロンプトを共有の文書にまとめる。「用途・プロンプト本文・使い方の注意・作成者」を記録しておく
  • テンプレートの変数を明示する:【】などで書き換える部分を分かりやすくし、誰が使っても同じ品質になるようにする
  • 改善の履歴を残す:うまくいかなかった例と修正内容も共有すると、チーム全体の書き方が上達する
  • ツールの機能を活用する:多くの生成AIサービスには、よく使う指示を保存したり、独自の設定を持つアシスタントを作成したりする機能がある。定型業務はこれらに登録しておくと、毎回プロンプトを書く手間が省ける

開発の現場では、AIに渡す指示や外部ツールとの接続を標準化する動きも進んでいる。AIと社内ツールをつなぐ規格についてはMCP(Model Context Protocol)の解説記事、AIにコードを書かせる具体的な使い方はClaude Codeの使い方も参考にしてほしい。

プロンプトの設計や、生成AIを業務に組み込むスキルは、エンジニアの仕事でも評価されるようになってきた。AI活用に積極的な企業で経験を積みたい人は、ITエンジニア専門の転職エージェントで求人を探してみるのも一つの方法だ。



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よくある質問

Q. ChatGPT、Claude、Geminiでプロンプトの書き方は変わりますか?

A. 基本的な考え方は共通しています。明確で具体的な指示、目的や背景の説明、例の提示、出力形式の指定は、どのAIでも効果があります。細かな得意・不得意はサービスごとに異なるため、重要な作業では同じプロンプトを複数のAIで試し、結果を比べてみるとよいでしょう。

Q. プロンプトは長いほうがよいのですか?

A. 長さそのものより、必要な情報が入っているかどうかが大切です。目的や背景が伝わっていれば短くても十分な場合がありますし、関係のない情報が多いと、かえって焦点がぼやけることがあります。

Q. 英語で書いたほうが精度は上がりますか?

A. 現在の主要な生成AIは日本語の理解力が高く、日常業務では日本語で書いて問題ありません。英語の資料を扱う場合や、英語で出力したい場合は、その旨を指示に明記しましょう。

Q. 「あなたは〇〇の専門家です」という役割の指定は必要ですか?

A. 必須ではありませんが、回答の視点や言葉遣いをそろえるのに役立ちます。役割よりも、目的と読み手を具体的に伝えるほうが効果が大きい場合が多いため、両方を組み合わせるのがおすすめです。

Q. 同じプロンプトでも毎回答えが変わるのはなぜですか?

A. 生成AIは、毎回少しずつ異なる文章を生成する仕組みになっているためです。答えを安定させたい場合は、出力形式を細かく指定したり、見本を示したりすると、ばらつきを小さくできます。

Q. プロンプトの書き方を上達させるにはどうすればよいですか?

A. 実際の業務で使い、うまくいったプロンプトとそうでないものを比べるのが一番の近道です。各AI開発企業が公開している公式のプロンプトガイドにも、具体的な例が多く掲載されています。

Q. 社内でプロンプトのルールを作るとき、何から決めればよいですか?

A. まずは「入力してよい情報と、いけない情報」の線引きから決めるのがおすすめです。次に、よく使う業務のプロンプトをテンプレートとして共有し、出力をどう確認するかのルールを定めると、品質と安全性の両方を保ちやすくなります。

Q. AIの回答が途中で終わってしまうときはどうすればよいですか?

A. 「続きを書いてください」と頼めば、多くの場合は続きが出力されます。最初から長い文章が必要な場合は、章ごとに分けて頼むと、途中で切れにくく、内容の確認もしやすくなります。

Q. 生成AIの回答をそのまま社外向けの資料に使ってもよいですか?

A. 下書きとして使うのは効果的ですが、そのまま使うのは避けましょう。事実や数字に誤りがないか、社内の表現ルールに合っているか、他者の著作物と似すぎていないかを人が確認してから使うことが大切です。

まとめ:プロンプトは「仕事の頼み方」の工夫

生成AIから質の高い回答を引き出すために必要なのは、特別な技術ではなく、仕事を頼むときの丁寧さである。最後に要点を振り返る。

  • AIが使える手がかりはプロンプトだけ。情報が足りなければ一般的な答えになる
  • 「役割・目的・背景・条件・出力形式」の5つの要素で組み立てる
  • 具体的な数字、肯定形の指示、理由、見本、区切り記号、考える手順で精度を上げる
  • 複雑な作業は工程に分け、途中の結果を確認しながら進める
  • 一度で完璧を目指さず、ずれを言葉にして改善する
  • 機密情報、事実の誤り、権利関係に注意し、最終判断は人が行う

まずは、毎日の仕事の中から一つ、メールの作成や資料の要約など身近な作業を選び、本稿のテンプレートで試してみてほしい。うまくいったプロンプトを少しずつためていけば、それがあなたやチームにとっての大きな資産になる。

※本記事の情報は2026年10月時点のものです。生成AIの機能や利用規約、データの取り扱い条件は変更される場合があるため、業務で利用する際は各提供元の公式情報と社内規程をご確認ください。