「AIエージェントを業務に入れたいが、何から作ればいいのか分からない」。生成AIの活用が一巡した組織で、いま最も多い相談の一つである。チャットで質問に答えるAIから一歩進み、自分で手順を考え、ツールを使い、仕事を最後まで進めるAI――それがAIエージェントだ。
2026年に入り、AIエージェントを作る環境は大きく整った。ノーコードで組み立てられるサービスが増え、外部ツールとの接続は標準規格で簡単になり、開発者向けのフレームワークも成熟してきた。技術的なハードルは、数年前とは比べものにならないほど下がっている。
それでも、作ってはみたが「動きが安定しない」「思ったより費用がかかる」「どこまで任せてよいか分からない」という壁に当たる例は多い。原因の多くは技術ではなく、最初の設計にある。
本稿では、AIエージェントの作り方を、仕組みの理解から、作る前に決めること、ノーコード・フレームワーク・自作の3つの方法、7つの手順、プロンプトとツールの設計、評価と運用、安全対策、費用の考え方まで、初心者にも分かるように順を追って解説する。2026年9月時点の情報にもとづいている。
この記事の要点
- AIエージェントとは、目標に向けて自分で計画を立て、ツールを使いながら作業を進めるAIのこと
- 中核は「LLM(頭脳)」「ツール(手足)」「記憶」「指示(役割とルール)」の4つ
- 作り方は「ノーコード」「フレームワーク」「自作」の3つ。まずノーコードで小さく試すのが近道
- 成功の鍵は、任せる業務を一つに絞り、完了条件と「やってはいけないこと」を先に決めること
- ツールは少なく、説明は具体的に。外部接続はMCPなどの標準規格を使うと保守が楽になる
- 本番前に評価用の課題で成功率を測り、重要な操作には人の承認を挟む
- 費用は「1回の実行で何回モデルを呼ぶか」で決まる。上限を設けて監視する
AIエージェントとは?チャットAIとの違い
チャットAIとAIエージェントの違い(1回答えるAIと目標まで自走するAI)AIエージェントとは、人から与えられた目標に対して、達成までの手順を自ら考え、必要なツールを使い、結果を確かめながら作業を進めるAIの仕組みである。
通常のチャットAIは、質問を受けて一度答えを返すと、そこで役目を終える。次に何をするかは、毎回人が指示しなければならない。これに対してAIエージェントは、「考える→行動する→結果を見る→次を考える」を目標に届くまで繰り返す。たとえば「来週の出張の手配をして」と頼めば、予定表を確認し、候補の便を検索し、規程と照らして選び、申請の下書きを作る――という一連の流れを自分で組み立てる。
| 比較項目 | チャットAI | AIエージェント |
|---|---|---|
| 動き方 | 質問に1回答える | 目標まで複数の手順を繰り返す |
| 外部との関わり | 基本的に文章の生成のみ | 検索、ファイル操作、業務システムの操作など |
| 判断の主体 | 人が次の指示を出す | AIが次の行動を決める |
| 向いている仕事 | 文章作成、要約、相談 | 調べ物、定型業務の代行、複数システムをまたぐ作業 |
| 注意点 | 誤った内容の生成 | 誤った操作、想定外の費用、権限の扱い |
できることが増える分、「間違ったときの影響」も大きくなるのがAIエージェントの特徴だ。文章の誤りなら読めば気づけるが、誤ったメールの送信やデータの削除は取り返しがつかない。作り方を考えるうえでは、この点を常に意識しておきたい。
AIエージェントの仕組み:4つの構成要素
AIエージェントの4つの構成要素(LLM・ツール・記憶・指示)AIエージェントは、製品やフレームワークが違っても、おおむね次の4つの要素で成り立っている。
1. LLM(頭脳)
目標と状況を理解し、次に何をすべきかを判断する中心部分である。複雑な計画や判断が必要な場合は推論能力の高いモデル、単純な分類や整形が中心なら軽量なモデル、というように、仕事の難しさに合わせて選ぶ。
2. ツール(手足)
AIが外の世界に働きかけるための機能である。Web検索、社内文書の検索、表計算、メールやチャットの送信、業務システムのAPI呼び出しなどが該当する。LLMは「どのツールを、どんな引数で使うか」を決め、実際の処理はツール側が行う。
3. 記憶
作業の途中経過を覚えておく短期記憶と、過去の対応やユーザーの好み、社内の知識を参照する長期記憶がある。長期記憶には、文書を検索して参照するRAG(検索拡張生成)の仕組みがよく使われる。
4. 指示(役割とルール)
エージェントの役割、目標、使ってよいツール、守るべきルール、完了の条件を定めた指示文(システムプロンプト)である。人間でいえば業務マニュアルにあたり、エージェントの品質の大部分はここで決まるといってよい。
エージェントが動く基本の流れ
- 目標と指示を受け取る
- 現状を把握し、次の一手を考える
- ツールを選んで実行する
- 結果を観察し、目標に近づいたかを判断する
- 完了条件を満たすまで2〜4を繰り返し、最後に結果を報告する
この繰り返しは「エージェントループ」と呼ばれる。ループが長くなるほど柔軟に対応できる一方で、費用と時間が増え、途中で迷走する危険も高まる。ループの上限回数を決めておくことは、どの作り方でも欠かせない。
AIエージェントの種類:任せ方の3段階
AIエージェントと一口にいっても、どこまでAIに判断を任せるかによって、性格は大きく変わる。作り方を選ぶ前に、目指す段階を決めておくと設計がぶれにくい。
| 段階 | AIの役割 | 例 |
|---|---|---|
| ワークフロー型 | 人が決めた手順の中で、一部の判断や文章作成だけをAIが担う | 問い合わせの分類、定型文書の作成 |
| アシスタント型 | AIが手順を考えて実行するが、重要な操作の前に人が確認する | 調査レポートの作成、申請書の下書き |
| 自律型 | 目標だけを与えると、AIが計画から実行・報告までを担う | 長時間の調査、開発タスクの代行 |
自律度が高いほど柔軟に動ける反面、結果のばらつきや費用、安全面の管理は難しくなる。業務で使う最初のエージェントは、ワークフロー型かアシスタント型から始めるのが現実的だ。手順が決まっている部分はワークフローとして固定し、判断が必要な部分だけをAIに任せるほうが、安定して成果を出しやすい。
作る前に決めるべき5つのこと
AIエージェントを作る前に決めるべき5つのことAIエージェントづくりで失敗する最大の原因は、「何でもできるエージェント」を最初から作ろうとすることである。作り始める前に、次の5点を紙一枚にまとめておきたい。
- 任せる業務を一つに絞る:「問い合わせメールの一次仕分け」「週次の競合ニュースのまとめ」など、範囲がはっきりした仕事を選ぶ。月に何件発生し、1件に何分かかっているかも書き出しておくと、導入後の効果を比べやすい
- 入力と出力を決める:何を受け取り、どんな形式で結果を返すのか。出力の見本を一つ作っておくと精度が上がる
- 完了条件を決める:「どうなったら終わりか」を具体的に書く。これがないとエージェントは作業をやめられない
- やってはいけないことを決める:送信、削除、支払い、外部への公開など、AIに単独で行わせない操作を明記する
- 人が関わる場面を決める:どの段階で人が確認・承認するのか。最初は多めに設定し、慣れてから減らす
最初の題材としては、「失敗しても被害が小さく、成功したら時間が大きく浮く」業務が向いている。調べ物のまとめ、社内文書の下書き、データの整理といった「読む・まとめる」系の仕事から始め、「書き込む・送る」系の仕事は後に回すのが安全だ。
AIエージェントの作り方は3種類
AIエージェントの作り方3種類(ノーコード・フレームワーク・自作)の比較AIエージェントを作る方法は、大きく「ノーコード」「フレームワーク」「自作」の三つに分けられる。
| 方法 | 概要 | 向いている人・場面 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| ノーコード | 画面上でブロックをつなぎ、指示とツールを設定して作る | 非エンジニア、まず効果を確かめたい | 細かな制御や独自連携に限界がある |
| フレームワーク | エージェント開発用のライブラリやSDKを使ってコードで組む | 社内システムと連携したい開発者 | ライブラリの更新が速く、追従が必要 |
| 自作 | LLMのAPIを直接呼び、ループやツール実行を自前で書く | 挙動を細部まで管理したい、大規模運用 | 開発と保守の負担が最も大きい |
ノーコードで作る
各社のAIサービスには、指示文とツールを画面上で設定するだけでエージェントを作れる機能が備わっている。業務自動化ツールにAIの判断を組み込む形のサービスも多い。プログラミングなしで、数時間から1日程度で試作できるのが最大の利点だ。業務の流れがまだ固まっていない段階では、ノーコードで試しながら要件を見つけていくのが効率的である。
フレームワークで作る
主要なAI事業者やオープンソースのコミュニティが、エージェント開発用のSDKやフレームワークを公開している。ツールの定義、ループの管理、記憶の保存、複数エージェントの連携、実行記録の取得といった共通部品がそろっており、社内システムとの連携や独自の制御が必要になった段階で選ぶとよい。
自作する
LLMのAPIが備える「ツール呼び出し(Function Calling)」の機能を使えば、エージェントの基本形は比較的短いコードで書ける。仕組みを理解するための学習としても有効だ。ただし、エラー処理、再試行、記録、権限管理まで自前で作ると負担は大きい。本番運用では、フレームワークの利用も含めて検討したい。
AIエージェントの作り方:7つのステップ
AIエージェントの作り方7ステップここからは、どの方法でも共通する作り方の手順を7つのステップで説明する。
ステップ1:業務を分解して流れを書き出す
任せたい業務を、人が実際に行っている手順に分解して書き出す。「メールを開く→内容を読む→種類を判断する→担当者を決める→転送する」のように、動詞で区切るとよい。この段階で、AIに任せる部分と、人が行う部分、既存のプログラムで処理できる部分を仕分けておく。すべてをAIに判断させる必要はなく、決まったルールで処理できる部分は普通のプログラムのほうが速く正確だ。
ステップ2:モデルを選ぶ
判断の難しさ、応答速度、費用、データの扱いを基準にモデルを選ぶ。社外に出せないデータを扱う場合は、ローカルLLMや社内環境で動くモデルも選択肢になる。計画を立てる部分には高性能なモデル、単純な作業には軽量なモデル、と役割で使い分けると費用を抑えられる。
ステップ3:指示文(システムプロンプト)を書く
役割、目標、手順、使ってよいツール、禁止事項、完了条件、出力形式を書く。具体的な書き方は次の章で詳しく説明する。
ステップ4:ツールを用意してつなぐ
業務に必要なツールを用意し、エージェントから呼び出せるようにする。社内外のサービスとの接続には、AIと外部ツールをつなぐ標準規格であるMCP(Model Context Protocol)を使うと、接続部分を部品として再利用しやすい。
ステップ5:小さな課題で動かして観察する
いきなり本番の業務に使わず、過去の実例から10〜20件の課題を用意して試す。このとき、エージェントがどう考え、どのツールをどの順で使ったかの記録(ログ)を必ず確認する。結果が正しくても、手順が遠回りだったり、危うい操作をしかけていたりすることがある。
ステップ6:評価して改善する
用意した課題で成功率、所要時間、1回あたりの費用を測る。失敗した例の記録を読み、指示文、ツールの説明、ツールの数のどこに原因があるかを探して直す。一度に直すのは一か所だけにし、同じ課題で測り直すと、何が効いたかが分かる。
ステップ7:人の確認を挟んで本番に出す
最初は、エージェントの出力を人が確認してから実行・送信する形で運用を始める。一定期間、問題なく動くことを確かめてから、確認を省く範囲を少しずつ広げていく。本番に出したあとも、利用者がエージェントの結果を「採用した・修正した・却下した」のどれにしたかを記録しておくと、実際の業務での精度を把握でき、改善の優先順位を決めやすくなる。うまくいかなかった場合に備えて、以前の手作業に戻せる手順も残しておくと安心だ。
具体例:週次の業界ニュースをまとめる調査エージェント
手順のイメージをつかむために、比較的作りやすい「週次の業界ニュースまとめ」を例に考えてみる。
- 目標:指定した業界について、過去1週間の主要なニュースを5件選び、要点と出典をまとめる
- ツール:Web検索、ページの本文取得、社内共有フォルダへの下書き保存(読み取り2つ、書き込み1つ)
- 手順:検索語を考えて検索する→候補の記事を読む→重複や古い記事を除く→重要度で5件選ぶ→決まった形式で要約する
- 完了条件:5件の要約と出典のURLがそろい、下書きとして保存されたら終了
- 禁止事項:社外への送信や公開はしない。出典を確認できない情報は載せない
- 人の関わり:担当者が下書きを確認し、必要に応じて修正してから社内に共有する
この程度の規模であれば、ノーコードのサービスでも十分に作れる。まず4週分ほど試し、担当者が手作業で作っていたまとめと比べて、抜け漏れや誤りがないかを確かめるとよい。
プロンプトとツール設計のコツ
AIエージェントの指示文とツール設計のコツエージェントの品質を左右するのは、モデルの性能以上に、指示文とツールの設計である。
指示文は「新人向けの業務マニュアル」のつもりで書く
優秀だが社内の事情を何も知らない新人に仕事を頼む場面を想像するとよい。次の要素を含めると、動きが安定しやすい。
- 役割:「あなたは営業部の問い合わせ対応を補助する担当です」
- 目標と完了条件:「問い合わせを分類し、担当者と回答案を提示したら完了」
- 手順:判断の順番や、迷ったときの優先順位
- 禁止事項:「顧客へ直接送信しない」「価格の約束をしない」
- 分からないときの動き:「情報が足りない場合は推測せず、確認事項として人に返す」
- 出力形式:見出し、項目、文字数などの見本
ツールは少なく、説明は具体的に
使えるツールが多すぎると、エージェントは選択に迷い、誤ったツールを使いやすくなる。一つのエージェントに持たせるツールは、業務に必要な最小限に絞るのが基本だ。また、ツールが返す結果も、必要な項目だけに絞って読みやすい形で返すようにすると、エージェントの判断の誤りが減る。LLMはツールの名前と説明文を読んで使い方を判断するため、「何をするツールか」「いつ使うべきか」「引数の意味と例」を具体的に書いておく。似たツールがある場合は、使い分けの基準も明記したい。
読み取りと書き込みを分ける
情報を読むだけのツールと、送信・更新・削除を行うツールは分けて用意し、書き込み系のツールには人の承認を必須にする設計が安全である。権限は業務に必要な範囲に限定し、エージェント専用のアカウントを用意して、誰の権限で何をしたかを記録に残せるようにしておく。
1体で無理なら役割を分ける
業務が複雑になり、一つのエージェントでは指示文やツールが膨らみすぎる場合は、「調査担当」「執筆担当」「確認担当」のように役割ごとにエージェントを分け、まとめ役がそれらを呼び出すマルチエージェントの構成も有効だ。ただし、構成が複雑になるほど費用と不具合の原因も増えるため、1体で十分に動く範囲ではシンプルな構成を優先したい。
AIエージェントの評価と運用
AIエージェントは、同じ課題でも実行のたびに結果が変わることがある。そのため、「一度うまく動いた」ではなく「何割の確率でうまく動くか」で判断する必要がある。
| 評価の観点 | 確認すること |
|---|---|
| 成功率 | 用意した課題のうち、完了条件を満たした割合 |
| 手順の妥当性 | 無駄な繰り返しや、不要なツールの使用がないか |
| 安全性 | 禁止事項を守ったか、危険な操作をしかけていないか |
| 所要時間 | 1件あたりの処理時間が、人が行う場合より短いか |
| 費用 | 1件あたりのモデル利用料が、見合う水準に収まっているか |
運用が始まったら、すべての実行記録を保存し、失敗や人による差し戻しがあった例を定期的に見直す。差し戻された例は、そのまま次の評価用課題に加えると、改善のたびに評価の質も上がっていく。モデルや外部サービスが更新されると挙動が変わることがあるため、更新のたびに同じ課題で測り直す習慣をつけておきたい。
AIエージェントの安全対策
AIエージェントの安全対策6つAIエージェントは実際に操作を行う分、チャットAIよりも安全対策の重要度が高い。最低限、次の点を押さえておきたい。
- 最小権限:業務に必要な範囲だけのアクセス権を与え、管理者権限は持たせない
- 人の承認:送信、削除、支払い、公開など、取り消せない操作の前には必ず人が確認する
- プロンプトインジェクション対策:Webページやメール、文書の中に「指示を無視せよ」といった文章が仕込まれ、エージェントが乗っ取られる攻撃がある。外部から読み込んだ内容は「指示」ではなく「データ」として扱うよう設計し、危険な操作は承認制にしておく
- 上限の設定:ループの回数、1回の実行の費用、1日の実行件数に上限を設け、超えたら停止する
- 記録と監査:誰の依頼で、何を考え、どのツールを使ったかをすべて記録する
- 停止手段:異常に気づいたとき、すぐにエージェントを止められる仕組みを用意する
費用の考え方:1回の実行でモデルを何回呼ぶか
AIエージェントの費用は、主にモデルの利用料、ツールや外部サービスの利用料、実行環境の費用で構成される。中でも変動が大きいのがモデルの利用料だ。
チャットAIは1回の質問で1回モデルを呼ぶが、エージェントは目標に届くまでに何回もモデルを呼ぶ。しかも回を重ねるごとに、それまでの経過を入力に含めるため、1回あたりの入力量も増えていく。10回のループで終わる作業と30回かかる作業では、費用に数倍の差が出ることも珍しくない。
費用を抑えるには、次の工夫が効果的である。
- 決まったルールで処理できる部分は、AIではなく普通のプログラムで処理する
- 簡単な判断には軽量なモデルを使い、難しい判断だけ高性能なモデルに任せる
- 途中経過を要約して、入力量が膨らみすぎないようにする
- ループの上限を設け、迷走したら人に引き継ぐ
- 試験運用で1件あたりの費用を測り、人が行う場合の人件費と比べて判断する
AIエージェントの活用例
始めやすいAIエージェントの活用例6つ最後に、比較的始めやすい活用例を紹介する。いずれも「読む・調べる・まとめる」が中心で、最終判断を人が行う形にしやすい業務だ。
- 調査・リサーチ:テーマを与えると、複数の情報源を検索して要点と出典をまとめる
- 問い合わせの一次対応:問い合わせを分類し、社内文書を参照して回答案を作り、担当者に回す
- 営業準備:訪問先の企業情報、過去のやり取り、関連ニュースを集めて事前資料を作る
- 社内手続きの補助:規程を確認しながら、申請書の下書きや必要書類の案内を行う
- 開発支援:コードの修正案の作成、テストの実行、変更内容の説明をまとめる。開発向けのエージェントツールについてはClaude Codeの使い方も参考になる
- SNS運用:投稿案の作成、予約、反応の集計を補助する。詳しくはSNSエージェントを作る方法も参考にしてほしい
なお、会議の議事録づくりのように「録音→文字起こし→要約」の流れが決まっている業務なら、エージェントを自作する前に、専用のAIデバイスを使うという選択肢もある。
PR:Plaud(AI議事録デバイス)
導入を社内で進めるためのポイント
AIエージェントは、作るだけでは定着しない。実際に使われる仕組みにするには、技術以外の準備も必要になる。
- 業務の担当者を巻き込む:エージェントに任せる業務を一番よく知っているのは、現場の担当者である。手順の書き出しや評価用の課題づくりに参加してもらうと、精度も納得感も高まる
- 効果を数字で示す:処理件数、1件あたりの時間、差し戻し率などを導入前後で比べ、どれだけ時間が浮いたかを共有する
- 利用ルールを決める:扱ってよいデータ、任せてよい操作、問題が起きたときの連絡先を文書にしておく
- 責任者を置く:エージェントごとに管理者を決め、指示文やツールの変更、評価の結果を管理する
最初の成功例ができると、ほかの部署からの相談が一気に増えることが多い。そのときに備えて、作り方・評価の方法・安全ルールをひな形としてまとめておくと、二つ目以降のエージェントを短期間で安全に展開できる。
AIエージェントづくりでよくある失敗
- 最初から万能を目指す:業務の範囲が広すぎて、どれも中途半端になる
- 完了条件がない:エージェントが作業をやめられず、費用だけが膨らむ
- ツールを持たせすぎる:選択を誤り、不要な操作が増える
- ログを見ない:結果だけで判断し、危うい手順や無駄な動きに気づけない
- 評価せずに本番へ出す:数回の成功で判断し、実際の成功率が低いまま運用してしまう
- 人の役割を決めていない:誰が確認し、誰が責任を持つのかが曖昧なまま使われる
よくある質問
Q. プログラミングができなくてもAIエージェントは作れますか?
A. 作れます。ノーコードのサービスを使えば、指示文とツールを画面上で設定するだけで基本的なエージェントを作れます。まずはノーコードで効果を確かめ、独自の連携が必要になった段階で開発者に相談するのが現実的です。ノーコードで試した結果(うまくいった指示文や評価用の課題)は、開発者が本格的に作り直すときの要件書としてそのまま役立ちます。
Q. RPAとAIエージェントは何が違いますか?
A. RPAは画面操作などの決められた手順を正確に繰り返すのが得意で、手順が変わると止まってしまいます。AIエージェントは状況に応じて手順を考えられる反面、毎回同じ動きをする保証はありません。定型部分はRPAや通常のプログラム、判断が必要な部分はAIエージェント、と組み合わせるのが効果的です。
Q. どんなモデルを選べばよいですか?
A. 計画や複雑な判断が必要なら推論能力の高いモデル、分類や整形が中心なら軽量なモデルが向いています。用意した評価用の課題で複数のモデルを比べ、成功率と費用のバランスで選ぶのが確実です。
Q. 社内の機密情報を扱っても大丈夫ですか?
A. 利用するサービスのデータの取り扱い条件を確認し、社内規程と照らして判断してください。外部に出せないデータを扱う場合は、社内環境で動くモデルを使う構成も選べます。権限を最小限にし、記録を残すことも欠かせません。
Q. 作るのにどれくらいの期間がかかりますか?
A. ノーコードの試作なら数時間から数日、社内システムと連携する本格的なものなら、評価と試験運用を含めて数週間から数か月が目安です。最初の試作よりも、評価と改善に時間をかけることが成功の近道です。
Q. AIエージェントに仕事を任せきりにできますか?
A. 読む・まとめる系の業務では、十分な評価を経て任せる範囲を広げられます。ただし、取り消せない操作や対外的な判断は、人が最終確認する形を残すことをおすすめします。
Q. 1体のエージェントと複数のエージェント、どちらから始めるべきですか?
A. まずは1体から始めてください。1体で指示文とツールを整え、評価で十分な成功率が出ることを確かめてから、必要に応じて役割を分けます。最初から複数のエージェントを組み合わせると、うまくいかないときに原因を特定するのが難しくなります。
Q. 作ったエージェントの精度が落ちてきた場合はどうすればよいですか?
A. 利用しているモデルの更新、外部サービスの仕様変更、業務内容の変化などが考えられます。保存している評価用の課題で測り直し、どの課題で失敗するようになったかを確認してください。記録を残しておけば、変化の前後を比べて原因を特定しやすくなります。
Q. エージェントが同じ作業を何度も繰り返して止まらないときは?
A. 完了条件があいまいか、ツールの結果をうまく解釈できていないことが多い原因です。完了条件を具体的に書き直し、ループの上限回数を設定してください。上限に達したら、それまでの経過をまとめて人に引き継ぐようにしておくと、費用の膨張も防げます。
まとめ:小さく作り、測り、任せる範囲を広げる
AIエージェントは、作るための道具がそろい、誰でも試せる段階に入った。重要なのは技術の選択よりも、最初の設計と、評価を繰り返す姿勢である。
- AIエージェントは「考える→行動する→結果を見る」を繰り返して目標に向かうAI
- 中核はLLM・ツール・記憶・指示の4要素。品質の大部分は指示とツール設計で決まる
- 作る前に、業務・入出力・完了条件・禁止事項・人の関わり方を決める
- ノーコードで小さく試し、必要に応じてフレームワークや自作へ進む
- 評価用の課題で成功率と費用を測り、ログを読んで改善する
- 最小権限・人の承認・上限設定・記録で安全に運用する
最初の一歩としては、自分の仕事の中から「毎週同じように調べてまとめている作業」を一つ選び、ノーコードで小さなエージェントを作ってみてほしい。完璧を目指す必要はない。どこでつまずくのかを知ることが、業務で使えるエージェントへの最短距離である。
※本記事の情報は2026年9月時点のものです。紹介したサービスや機能の仕様は変更される場合があるため、導入の際は各提供元の公式情報をご確認ください。